あいさつ

同窓会名誉会長 島本 美保子(社会学部長)

新型コロナ感染拡大の中で

社会学部同窓会の皆様、4月1日に社会学部長に就任いたしました島本美保子です。どうぞよろしくお願いいたします。
 入学式が中止になり、そればかりかガイダンスもすべて中止、授業はすべてオンライン授業という状況の中で学部長になるとは思いもよらないことでした。そして状況が日に日に悪い方へと変化する中で新入生を迎え、なんとしても彼らに学部につながってもらえるようあらゆる手立てを尽くすこと、専任・兼任の先生方になんとか授業を行っていただけるような環境を用意することを中心に、この2週間慌ただしく動いてきました。

オンライン授業と学生サポート

 苦しい2週間ではありましたが、他方で嬉しいこともありました。普段はそれぞれの教員がそれぞれのペースで研究・教育を行っています。しかしこの2週間というもの、教員たちはオンライン授業をどうやったら成り立たせることができるのか、メーリングリストでいろいろな情報を提供し合い、特に頼まなくても科目群ごとに兼任講師のサポートを始め、また学生サポートについても、有志の相談窓口が立ち上がりました。中には悲観的になって何事にも懐疑的になる人もいますが、できる人ができることをやる、という空気みたいなものが学部の中に醸成されてきたように思います。
以前に『皇帝ペンギン』という映画で観たペンギンたちの子育てを思い出しました。南極の冬は厳しく、吹雪が吹き荒れる中で皇帝ペンギンの親たちは卵を暖め続けます。子どものためにエサを求めて100キロ以上移動する母親ペンギン、ブリザードの中を120日間も絶食しながら卵を暖める父親ペンギン。卵を足の上に載せ、羽毛をかぶせてじっと暖め続けるペンギンたちは何百羽もお互いに体を寄せ合って、一塊になって寒さをしのぎます。ずっと観察していると、その集団は少しずつ動いて、外側の寒いところにいるペンギンたちは徐々に内側に移動し、順々に他のペンギンが外側に、と場所を変えながらお互い体力の消耗を最小限に抑えます。私たちもそうやって、誰一人疲弊しきることなく、学生を取り残すことなく春学期を進めていきたいものです。

自由貿易と環境悪化

 少し私の専門についてご紹介しましょう。私の専門は環境経済学です。特に熱帯林をはじめとする森林の持続可能性とそれに貿易がどう影響するのか、というのが大学院時代からの研究領域です。このテーマを私は、WTOからTPPへと貿易や資本の自由化が怒濤のような勢いで進んでいく中で追い続けてきました。熱帯林破壊の原因は主に農地転用や商業伐採で、その背景原因は農林産物の貿易にあります。他方世界有数の農林産物の輸入国である日本では、これらの輸入によって、国内の農林産業が衰退し、農村が疲弊しています。両者ともに自由貿易によって環境が悪化しているにもかかわらず、なぜ貿易自由化はさらに進行していくのでしょうか。それは各国が輸出産品を、日本では工業製品をもっともっとたくさん輸出してもうけたいからなのだ、ということを政治経済学的に検証してきました。では輸出産業が儲けた利益は国民のために使われているのかというと、必ずしもそうでもありません。自分たちがますます有利な条件で経済活動が行えるように、政治献金したり、タックスヘイブンに貯め込んだりもしています。社会における経済利益の分配が明らかに歪んでいると思います。以上のようなことを機会あるごとに訴えてきました。

次の世代に希望のある社会を

 今回の新型コロナウイルス感染拡大により、世界経済は今後大きく傾いていくことでしょう。それでも我々は次の世代に希望のある社会を残していくことができるでしょうか。「今だけ、金だけ、自分だけ」の価値観から脱却して、みんなのためにできる人ができることをやる社会に変革されていくことが多かれ少なかれ必要なのではないでしょうか。これはものすごく大きな社会課題です。社会学部で行われているさまざまな学問がその解決への道筋を示せるかもしれない、そして学生とそれを共有できるかもしれない、そんな希望を持ちながら、この難局を乗り切っていきたいと思っています。

(2020年4月18日にご入稿いただきました。中見出しは会報委員会が付けました)

同窓会会長 中 正美

シェアリングエコノミーを活用した同窓会の活性化に向けて

2020年度、高橋前会長の後を受け継ぎました 中 正美 です。どうぞよろしくお願い申し上げます。

高橋前会長の3期6年に及ぶ取り組みで、「社会学部同窓会の未来のかたち」が見えるようになったと実感しております。その中でも、公式ウェブサイト刷新、ソーシャルネットワークサービスの活用など、日本のグローバル化に伴う同窓会運営の改革は、「流石」と、誰もが認めるものでありました。
そこで、私自身前高橋会長の方針を継承し、「会員数の増加」「会員の皆様の個人等が保有する活用可能な情報の共有を図る」「大学と連携・協力」の3点を基本とした活動を展開していこうと考えております。
近年、私たちの生活様式の変化を知ることとなりました。それは、車や居住にみられる欲しいものを購入するのではなく、必要な時に借りればよい、他人と共有すればよいという考えを持つ人が増えてきているということです。
私事になりますが、零細農家の長男として生を受けまして、親が購入した耕作機材を使用して現在に至っております。しかし、今、大きな危機が迫っております。米作には大型機械を数台要します。1台だけでも1千万円近くのものがあります。細々と百姓を営んでいる我が家では、機械の老朽化による買い替えの選択肢はありません。生き残るためには農業機械のシュアリングをするか、しかし、そこまでして農業を継続する必要性も感じ取れない今日であります。つまり、「シェアリングエコノミー」の時代が農業にまで押し寄せているということをお伝えしたいと思います。

同窓会会員の皆様におかれましては、貴重な学びや経験を積んでおられる方や、様々な分野における「プロまたはセミプロ」がおいでになると推察いたします。法政大学社会学部同窓会チームという視点から、ご紹介あるいはご投稿をいただき、その声が親睦を深めるための一端とさせていただければ幸いでございます。今後も、同窓会活動に絶大なるご支援・ご協力をお願い申し上げます。

2020年12月8日